もう一つのパノラマカー〜名鉄7500系の思い出〜

(2023/11/20 写真・記事追加)

　本家パノラマカー、7000系の改良型として1963年に登場した7500系。

　一見7000系と瓜二つに見えるが、特徴的なのは運転台の突出部が7000と比較して大きいこと。また7000系では展望席フロアが低く設計されていたのに対し、7500系では低重心化によりフルフラットになった。乗った印象としては、車内の明るい色調も相まってか、意外と7000系より広く感じられた。

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●2004年8月　犬山橋を渡る7500系

　主要機器に関しては当時の新技術を盛り込んだため、他車種との車両との併結は全く不可。また新技術の回生ブレーキの影響により代走で入った西尾線の変電所を飛ばしたこともあり、運用自体も本線や犬山線・河和・常滑線と限られていた。

　また両数に関しては7両編成や8両編成で運行された時期もあった。

　当時、7000系の6両固定編成(P6)と共通運用で、どちらが来るかは運次第。 7000系ほど個性やバリエーションが少ないので、パノラマカーではあれどニセモノ感が拭えず、撮影や乗車で7500系が来た時には少し残念な印象を受けた。

　検査入場時に先頭に出てきたと言う、7515Fに組み込まれていた中間運転台が末期まで残っていたらかなり興味をそそられたかもしれない。

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●2004年7月11日　7000系(左)と7500系(右)。運転台の高さに注目！

　老朽化のため1988年ごろからは特別整備が施され、7501F〜7513Fの7編成に対して行われた。

　しかし、中間運転台付きの7515Fを含んだ5編成は特急需要の変化により一足先に順次廃車となり、1030系や1850系に機器流用された。

(元1134Fの1380系を含む)

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⚫︎主に本線系統で活躍した7500系。性能上、支線への入線は限られていた。

　そんな7500系も、2005年1月の空港線開業・2月のセントレア開港により転機が訪れた。持ち前の低床構造の車体が、駅ホームより低くなりバリアフリーの障害になるとして空港線の入線は不可となり、廃車が進んでいった。

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●2005年1月改正による駅名変更のため新行先幕へ変更したが、短命であった。

　また2004年頃から7500系の廃車を見越して3150系(3151〜3154F)、3300系(3301〜3304F)の導入が行われ、徐々に7500系(P6)の運用と差し代わっていった。

　2008年に引退する7000系とは対照的に、さよなら運転などは特に行われず日常から静かに消えていった。

　ホームに滑り込んでくるときの「スゥー、スゥー」と言うブレーキ音と、鉄シュー車特有の焦げた臭いと汚れが印象的だった7500系。

　白帯を巻いたりせず、編成の変化も乏しかったものの、統一された編成は7500系特有の美しさが感じられた。そんな7000系とはちょっと違う、もう一つのパノラマカーにもう会えないのは寂しい限りである。

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